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2021年3月15日

いつかはの憧れ、石徹白(いとしろ)一周へ by 小寺教夫


約10年前のことですが、私がバックカントリースキーを覚えたての頃、今も所属する山岳会のツアーで岐阜県石徹白(いとしろ)エリアの一座、野伏ヶ岳を訪れたことがありました。この時、おそらく私にとって本格的なバックカントリーはまだ数回目だったように記憶しています。


野伏の山頂に立った私の前に、圧倒的な迫力で現れた白銀の山々。その景色に私はただただ感動をするばかりでした。そんな時に会の先輩が私にかけてくれた言葉、「小寺君もいつか石徹白一周をやってみるといいよ」。

その言葉に答えた「はい!」はちょっと自信なさげだったのかもしれません。目の前のこの広大な山々を自分の身体とスキーだけで踏破するという行為、それは当時の私には想像することすらできない、大きすぎるテーマでした。

あれから約10年、季節は同じ3月上旬。いつかはと思い続けてきた石徹白一周が実現しました。

白山中居神社(729m)~銚子ヶ峰(1,810m)~願教寺山(1,690m)~よも太郎山(1,581m)~薙刀山(1,647m)~野伏ヶ岳(1,674m)~白山中居神社 全長約28㎞

この10年の間に私はSKIMO(山岳スキーレース)という情熱と出会い、憧れだった石徹白一周は踏破だけでなく、スピード記録への挑戦も目標に加わりました。

午前7時22分、神社の鳥居に見送られてスタート。憧れてきた峰々を越えていく素晴らしい時間。あの時見た視線の先を自分が駆けている不思議。速いリズムで繰り返される呼吸の音。いろいろな物を感じながら進む雪山の旅。そして最後に立った頂は思い出の野伏ヶ岳、思わず笑みがこぼれました。野伏からの滑りを終え、白山中居神社の鳥居に再び迎えられて挑戦は終了。時計が示した記録は5時間27分24秒。

今、あの頃には想像もしなかったことが出来るようになった自分がいると思うと、とても感慨深いものがありました。我ながらこの10年で本当に強くなったと思います。また同時に、今は次の10年がますます楽しみになっています。私の山と人生はまだまだこれから。節目の石徹白に、またひとつ良い思い出ができました!