1921年、フランス・アルプスの中心、アヌシーで誕生したMILLET。
ブランドのルーツはアヌシーにあり、その製品はシャモニーという世界最高峰のフィールドで鍛えられてきました。
創業以来100年以上にわたり、登山家や山を愛するすべての人々とともに歩み続けています。
ウェア、バックパック、フットウェア、スリーピングバッグ、アクセサリー。そのすべては、山での挑戦を支えるために生まれました。
私たちにとって山は、最高のテストフィールドであり、学びの場です。そして、世界中のコミュニティから寄せられるフィールドでの経験こそが、新たなイノベーションを生み出す原動力となっています。
ORIGINS
アルプスの麓で生まれた、
キャンバスバッグづくり
1921年。
マルク・ミレーの発想力と、妻エルマンスの揺るぎない意志から、Maison Milletは誕生しました。
物語は、リヨン近郊サン=フォンにある小さな食料品店で作られた買い物袋や穀物袋から始まります。
やがて工房ではキャンバスバッグの種類が増え、多くの顧客が訪れるようになりました。
サヴォワ地方出身の夫妻には、1920年にルネ、1921年にレイモンが誕生します。
1929年、病弱だったマルクの療養のため、一家は澄んだ空気で知られるアヌシーへ移り住みました。。
MANET
MILLETの歴史を築いた女性マネ
1937年、マルクは43歳の若さでこの世を去ります。
当時、女性が企業を経営することは法律上認められていませんでした。それでもエルマンスは、まだ10代だった二人の息子とともに会社を引き継ぎます。
彼女の揺るぎないリーダーシップによって、MILLETは新たな時代を迎えました。
ルネは17歳で生産を、レイモンは16歳で営業を担当し、エルマンスは経営を担いました。
アヌシーでは、スキーバッグやビーチバッグ、自転車用バッグなどを製作し、フランスに広がり始めたレジャー文化とともにブランドは成長していきます。
家族から「マネ」の愛称で親しまれたエルマンスは、MILLETという家族の支柱でした。
その強い意志と人柄は世代を超えて語り継がれ、彼女のもとでMILLETは大きく飛躍しました。
THE MILLET BROTHERS
ミレー兄弟が築いたブランドの成長
1942年、一家はアヌシーのシャンベリー通り36番地に土地を購入します。
そこには、家族3世帯が暮らす住居と、その1階に工房・工場を備えたMILLETの象徴ともいえる建物が建てられました。
「家族」と「会社」は切り離せないもの。
それがマネの信念でした。
この家では28年間、家族とブランドがともに暮らし、ともに成長していきます。
やがて「家族」の輪はさらに広がります。
ラインホルト・メスナー、ワルテル・ボナッティ、ルネ・デメゾンなど、多くのアルピニストたちがアヌシーを訪れるたび、この家に滞在しました。
一方、工房では約20人の職人が働き、1962年には事業拡大に伴って工場も増築されます。
日本やドイツへの輸出も始まり、MILLETは国際ブランドへと成長していきました。
兄ルネと弟レイモンは対照的な性格でしたが、お互いを深く尊重し合い、その強い絆がブランドを支え続けました。
MILLET
フランスを代表するアルパインブランドへ
MILLETの歴史は、常に山とともにあります。
家族旅行はいつも山へ。
商品の配達に使われたバンは、そのままシャモニーへ向かう車でもありました。
「ルネは山の話しかしなかった。」
そんな情熱から、1960年、兄弟は登山用バックパックづくりに専念する決断を下します。
これがMILLETの大きな転機となりました。
ブランドは自らを”山のブランド”として明確に位置づけ、そのDNAは現在まで受け継がれています。
開発には、その時代を代表するアルピニストたちが加わりました。
ルイ・ラシュナルは初代登山用バックパックを共同開発し、ワルテル・ボナッティは最初のテクニカルアドバイザーに就任。
さらにウェア開発では、ラインホルト・メスナーがエベレストGTX 3Lジャケットの開発に参加しました。
現在も語り継がれる象徴的なブルーは、このジャケットに由来しています。
1980年、兄弟は惜しまれながら会社を手放します。
しかし彼らは、その100年後にブランドが再び家族のもとへ戻ることになるとは想像もしていませんでした。
RETURN TO THE FAMILY
家族のもとへ戻るという夢
レイモンの息子ジャン=ピエール・ミレーは、工場の上階で育ちました。
少年時代に会社が売却されて以来、彼はいつかMILLETを家族のもとへ取り戻すことを夢見続けます。
2006年にはLafumaグループの株主となり、取締役にも就任。
長い年月をかけ、その夢を追い続けました。
そして30年後、ついにその機会が訪れます。
ジャン=ピエールは買収交渉を進める一方、中国・LVMHで活躍していた甥ロマン・ミレーにCEO就任を打診しました。
ロマンはキャリアを離れ、家族とともにアヌシーへ戻る決断をします。
2021年のクリスマスイブ。
ジャン=ピエールは家族へこう伝えました。
「やり遂げた。MILLETを取り戻した。」
それはビジネス以上に、家族の物語が再び始まる瞬間でした。
LOOKING TO THE FUTURE
次の100年へ
2021年。
創業者の孫ジャン=ピエール・ミレーは、ブランドを家族のもとへ取り戻しました。
同時に、創業者の曾孫ロマン・ミレーが4代目CEOに就任。
さらに従兄弟のサシャもブランドに加わり、新たな世代がMILLETを未来へ導いています。
現在も本拠地はアヌシー。
受け継がれてきた技術を礎に、新しいコレクションを生み出し続けています。
社内を歩けば、シャルル・デュブルーズ、シモン・ヴェルフランジェ、エミリー・ハロップといった新世代のアスリートたちが行き交い、かつてのラシュナル、ボナッティ、メスナーの精神を受け継いでいます。
こうしてMILLETの物語は、世代を超え、山とともに未来へ受け継がれていきます。
A HISTORICAL RETROSPECTIVE
歴史年表
