MY TRILOGY




八幡平で雪に埋まりながら被写体を追う松岡さん。


あの一瞬をファインダーに!
スティープな冬山の、心を揺らす風景。


山岳スキーフォトグラファー
 
松岡祥子


どんな困難にも負けず、まだ見ぬ風景やはるかな高みを目指して、ただひたすらに歩を進める。ヴァーティカルな岩壁からスティープな雪山、そしてワンデイでアクセスできるハイキング・フィールドまで、ミレーの“トリロジー”シリーズがサポートする彼女たちのフィールドは、“ネイチャー”をキーワードにどこまでも広がっている。大自然がもたらす四季の営みとアウトドア・フィールドを巡る、アクティブな女性たちのストーリー。

まるで大雪原のような冬の黒部湖。三浦大介さんとこの湖を渡り、黒部横断にチャレンジした。撮影:松岡祥子

華奢な身体のどこに、こんなパワーが潜んでいるのだろう。山岳スキーフォトグラファーとして活動する松岡祥子さんは、スティープな雪山をこよなく愛する山岳スキーヤーでもある。聞けば、生まれ育ちは豪雪地帯の秋田県。子どもの頃から、身体の一部のようにスキー板を扱っていた。
「本格的に山を滑るようになったのは2004年ごろから。その頃は知識もスキルもなかったから、無茶なシチュエーションで滑っていました。いま思うと、若くて無謀なスキーヤーだったんです」


山岳写真の萌芽が訪れるのは、それから4年後のこと。白馬岳を滑っていた時、ミレーのテクニカルアドバイザーであり、山岳写真家として知られる菊池哲男さんと出会う。面識はなかったけれど、写真を撮ることが大好きだと伝えた松岡さんに、菊池さんはこんなアドバイスをしてくれた。「山岳写真に興味があるなら、一眼レフで撮ってみたら」、と。
 それまで趣味で撮っていた写真だが、コンパクトデジカメでの表現力に限界を感じていた。繊細な山の移ろい、奥行き感。その壮大な世界で格闘する人間の営みを、一枚のビジュアルに写しとってみたい。そんな抑えがたい気持ちに突き動かされて、一眼レフの勉強を始めた。

美女平では素晴らしい夕景を狙うことができた。

赤岳南沢、モナカ状の雪を蹴散らして急斜面を滑降する三浦大介さん。撮影:松岡祥子

松岡さんにとって大きな転機となったのは、スキーアルピニスト、三浦大介さんとの出会いだ。三浦さんは1980年代半ばより未滑降ルートの開拓を始め、現在では80本以上の初滑降ルートを手にする山岳スキー界の重鎮。“レジェンド”と呼ばれる三浦さんとの出会いをきっかけに、山スキー同人の会「RSSA(スキーアルピニズム研究会)」に入会した松岡さんは、三浦さんの滑降に同行しその姿をファインダーに収めるようになった。
「平日は会社員をしていますから、山に入れるのはおのずと週末のみになります。そういう限られたチャンスの中で自然のコンディションが合うことはまれですが、だからこそ全てがぴったりマッチした時の雪山の美しさは言葉で言い表せないほど。その中を悠然と滑降する三浦さんをうまく切り取れた時は、心が震えるほどの感動を覚えます」

滝谷、D沢を滑降する松岡さん。

黒部横断の際の、凍りついた黒部湖を渡る経験。白馬連峰杓子岳や北穂高岳・滝谷の、ゴツゴツとした黒い岩肌が露出する急斜面を滑降する、非日常的な一瞬。心を揺らすひと時を求めて三浦さんとクライム&ライドを繰り返す中で、松岡さんの山岳へのアプリーチも進化し続けている。
「三浦さんに影響を受けたのは、勤勉さ、日々の努力、そして山との向き合い方です。三浦さんは恐ろしいほど慎重な方。夏の間は雪山シーズンのリサーチとして沢登りを欠かしませんし、シーズン中も、登攀中に少しでも気になることがあったら滑降せずに下山します。ベストなシチュエーション、コンディションだと本人が納得しない限り、滑らないんです。私も以前は根拠のない『大丈夫』という思いで滑っていましたけれど、いまは三浦さんの『信念のある慎重さ』を見習って、『今日は降りよう』と決断する勇気を持てるようになりました」

いつかこんな写真を撮ってみたい、と松岡さん。
雑誌「FALL LINE」に掲載されていた、
フランスのステファン・ゴダンの作品。

そんな三浦さんの山行に同行するため、自らも日々の鍛錬を欠かさない。平日のトレーニングでは、20キロのザックを背負い、両足に3キロずつのウェイトをつけ、家の階段をひたすら上り下りする。加えて近所のプールでは沢泳ぎの練習、クライミングジムではボルダリングのトレーニングも。
「三浦さんのスピードについていくために、荷物や機材の徹底的な軽量化も図っています。日帰りの山行ならベースウェイトが5.7キロ、カメラ機材が2.1キロ。無駄なものをそぎ落としていけば、その分、メインのアクティヴィティに集中できますから」
 軽量化を考えて行き着いたのが、ミレーのギアだという。必要な機能を残しながら一切の無駄を省いたミニマルなデザインが、松岡さんのニーズにマッチした。

三浦さんに同行するときの日帰りの装備。
これにカメラ機材を加えてトータル8キロ。

「山小屋泊やロープを持って歩く想定の山行には、『トリロジー35』のザックが活躍します。960グラムと軽量でごくシンプルな作りなんですが、山岳スキーにもアルパインクライミングにも使える汎用性の高いところがいい。アウターとパンツはもっぱら、『トリロジー Vアイコン ゴアテックス プロ ジャケット』と『トリロジー ゴアテックス プロ パンツ』の組み合わせ。軽くて動きやすく、どんなシビアなシーンでも安心して行動できるタフさも魅力。細身のデザインで日本人の体型にも合いますね。いちばんのお気に入りは、『トリロジー デュアル アドバンスド ジャケット』。プリマロフトとフリースのハイブリッドジャケットなんですが、一枚でアウターとしてもミッドレイヤーとしても使える。軽量化という点で、一枚で二役を兼ねるスマートなアイテムは必携なんです」

「誰も見たことのないような、何年も見飽きないような、圧倒的な写真を撮りたい」と語る松岡さん。今年の冬もまた、トリロジーシリーズに腕を通し、夢への一歩を雪面に刻みつける。

山岳スキーフォトグラファー

松岡祥子


秋田県生まれ。自らも山岳スキーを楽しみながら、数々のスキーヤーのライディングを写真に収める。近年では三浦大介氏に同行、その初滑降の様子を撮り続けている。昨年秋には都内のギャラリーで写真展「F」を開催。夏場の滝の様子を捉えた約20点の作品を披露した。