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May.22    

カナディアンロッキー・マウントボール東壁 by 山田利行(後半)

前半より続き)

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メンバー三人でのトレーニング(撮影:谷 剛士)

メンバーに悪いと思いながらなんとか体調を回復させいざ気を取り直してBCへとスキーを走らせた。1か月ぶりに対面したボール東壁は2月の偵察時に比べさらに雪を纏い上部に大きなセラックと巨大な雪壁を抱えていたのであった。

ボール東壁は落ち着いているように見えたが、いつ巨大な雪崩が来るか分からない恐怖があった。しかも壁は東面であり日中は陽が燦燦と当たっていることがさらに恐ろしかった。それでも自分たちのラインは上部にセラックもないし、雪壁から起こる雪崩も最低限だから大丈夫だと思い込むことにした。

登攀は陽の当たる午前中を避けあえて陽の当たらない午後から開始したにも関わらず止まらないチリ雪崩を受ける羽目になってしまった。それとほぼ同時のタイミングで第二候補としていた北壁側から辺りの山を埋め尽くす雪煙を巻き上げるほどの巨大な雪崩が起きたのであった。なぜ陽が当たらない時間からチリ雪崩が発生するのか皆目見当もつかずお手上げ状態であった。

BCに戻ってからもメンバーで議論を重ねる。目標を変更するか留まって可能性を探るか。完璧な結論が出ないままもう少し留まって可能性を探ることにした。翌日は朝早くからアプローチを開始した。不確定な要素が脳裏にある中での行動はとても気が重い。雪壁に昨日は無かった雪崩の後を確認して完全に気持ちは切れてしまい敗退することを決断した。

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唯一のクライミングとなった1ピッチ目をフォローする山田(撮影:谷 剛士)

 敗退の理由として山は逃げないという言葉を聞いたことがあるが、登れるタイミングは逃げてしまう。今回は果たしてどうだったのだろうか。

その納得のいく判断が自分の中で出せないまま登ることはリスクが高すぎる。アルパインクライミングにおいてリスクが全くないなんてことはありえないし、そんなことは分かっている。でも判断を取り間違えれば最悪の結果がそこにはある。その判断力を鍛えるにはもっとロッキーの山に入り経験を積むしかないだろう。

そして今まで積雪期アルパインクライミングのベストコンディションだと思っていた春は冬よりも雪が多く天候が不安定で実は条件の厳しい時期だということも理解できた。ルートによっては3月初旬。そしてベストは雪の少ない初冬が一番アルパインクライミングに適した時期だと思う。今後はこの時期にできるだけ多くの山へ通い、自身の経験を積むことが必要であると感じた。もっとロッキーの山に精通していれば今回のようなコンディションで当初の目的が果たせなかったとしても違った成果を上げられていたかもしれない。

自分が本当に満足できる登攀をするためにこれからも地道にロッキーで登り続けたいと思う。

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遥かなるマウントボール (撮影:星野千春)

山田とチームリンクアップの活動記録は以下のリンクから見ることができます。
http://link8up.wixsite.com/the-mountainlife-jp/blog